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「進撃の巨人」第53話

完全試合

死の投石


獣の巨人が放った岩は町を破壊し尽くした。それは屋根を弾き飛ばし柱を粉砕し、頭を砕き内臓を抉る死の弾丸であった。今まさに辿り着こうとしている答え。それを目の前にして諦めなければならないのか。エルヴィンの脳裏に絶望の文字が宿るとき。調査兵団に最終命令が下る。次の世代の為に死ねと。その心臓を捧げよと!

大きく振りかぶって獣の巨人の見事な投球がさく裂。野球知ってたんかい!?というツッコミはさておき。いや冗談抜きで、もしかして獣の巨人陣営では野球に似たゲームでもあるのかと推測してしまいます。例えばベースボールとか(だからそれが野球だってば!

ただまあ、かねてより壁の中と外とでは文明のレベルが違うのではないか?とまことしやかに囁かれている状況がありまして、高度に発達した技術と原始的な暮らしが同居する世界観に於いては、壁の中と外では相当な情報の制限があるとされるのは真実を突いているのではないかと思われるわけであります。

上空からはベルトルトが放った焼けた家が降り注ぎ、地上に目をやれば獣の巨人が投げて寄越す岩の弾幕がある。これではエレンの家が破壊されるのも時間の問題。その地下室にあるという巨人の秘密、これを紛失させることが獣の巨人の目的であるように思います。

それは正にエルヴィンが求めたもの。父の研究の答え合わせがそこにあるという現実を前にして、この絶体絶命の状況を回避するには自ら囮となって獣の巨人と対峙することを決意したエルヴィンの覚悟たるや。

屍の上に屍を重ねて突き進む。そこに自らの屍をも重ねながら・・・

死んだら意味がない。そう言った新兵に対し「死」に意味を持たせるのは我々であると説き、そして我々の死に意味を見出すのは次の世代であると勧告したエルヴィン。それはまるで欲しいものを手に入れるには、欲しいものを手放せと言っているようでもありました。

正直な話、もはやエルヴィンが何を言っているのか分からないところもあります。ほとんどもう正気の沙汰じゃないとも思える。作戦はある!と言ったエルヴィンの口から突いて出たのはただの特攻だったのから、これは既に焼きが回ったなと思わせるに充分なものがあったでしょうか。

しかしここまで突き抜けているからこそエルヴィンはここまで辿り着くことが出来たと言えましょう。

「自分は特別じゃない」

それは2期以降、巨人の謎とは別に語られて来たテーマであります。エレンはこのことでしばらく鬱になっていました。しかしそれはエレンだけによらず、一介の兵士やましてや司令官であるエルヴィンもまた同様に特別ではない存在であるということ。

今回の状況はエルヴィン自身に自分も特別じゃないことを突きつけ場面であったと言えます。しかし彼がエレンと違うのは、特別じゃないことを即座に受け入れ、直面した事態の中で最善の行動を起こそうとしたことでありました。

その為には自ら屍となることを辞さない。積み重ねて来た屍の中に自分のそれを加えること。言ってみれば、死んで自分の屍を重ねることはエルヴィンにとって自らのルーツに立ち戻ることであったと言えるかも知れないのです。

それは初めから分かっていたことかも知れないし、あるいは望んでいたことであったかも知れない。木乃伊取りが木乃伊になる、それってある意味では一番の安らぎなのかも知れません。

何か私も変なことを口走っているような気がしますが、エルヴィンの生き方からはそんな刹那的なものを感じると言うか、エルヴィンという生き方そのものを見た思いがいたしました。


@ムハンホウちぇっそ@

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タグ : 進撃の巨人

2019/05/20 22:20 | アニメ感想COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

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