「帝一の國」

男子たるもの、一国の主であれ!

とかく男とはてっぺんに立ちたい生き物である。一国一城という言葉があるように、国を治め城を築くことは男のロマンと言えるだろう。それは小さな運命共同体である「家族」を持つ事をも意味し、城になぞらえた我が家こそは自らがその頂点に君臨する「国」として例えられる。

だがしかし、そんなちっぽけな夢などいかほどのものか!文字通り国を動かし、政治の頂点に立つ事を目指すのがこの物語の趣旨である!そう、これは総理大臣を目指してまい進する赤場帝一を主人公とする派閥争い、あるいは権力闘争に身を置く政治ドラマなのだ!

……。

のっけからジャパニーズヘヴィメタルの勇FLATBACKERの「ハードブロウ」が流れ、何事!?と思う間もなく心を鷲掴みにされてしまったワタクシ。

「いいかげんにしなさいよ~!今に痛い目にあうわよ!」

この歌詞が聴こえてきた瞬間から私は大爆笑が止らなくなってしまいました(もちろん上映中は静かに観覧してましたよ!

ジャンプスクエア連載の原作は毎月購読しており、特にお気に入りの漫画として自分ランキングの常に上位に君臨する痛快なコメディであったわけですが、その実写化、制作発表からキャストの発表に至る段階で既に楽しみにしていた1本でありました。さてその期待やいかに。

舞台となるのは海帝高校。ここで生徒会長になった者が将来の総理大臣を約束される、あるいはその有力候補となり得る。だからこそみな躍起になるわけなのです。時には手段を選ばず、しかし不正は自らにあだなす災いとなって降りかかるもの。

正義を貫いて票を逃すか、あるいは賄賂でかき集めた票でのし上がるのか。そのバランス、駆け引き。正に実際の政治のカリカチュアとしての世界がここにはあるのです。

劇画調の原作に倣って、映画も実に誇張された世界が展開。故にキャスト陣の役作りも比較的容易ではなかったかと推測されるところですが、それを差し引いてもどの役も総じてハマっていたと太鼓判を押さざるを得ない!(上から目線で申し訳ありません

「金色の狂犬」の異名を取る氷室ローランドのカリスマ性。赤場帝一の親友にして最大のライバルである大鷹弾の爽やかさ。帝一を陥れようとするどこまでも卑劣な東郷菊間のなんかすげぇキャラ。そして男子にして学校のアイドル(女子的な?)たる光明のキュートさにはほんと惚れました。カワイイ!

そして私が何より感動を覚えたのが、氷室と選挙戦を争う森園億人の再現性!個人的な印象では原作と寸分違わぬのはもちろんのこと、元からこういうキャラだったよね!?と思わせるほど真に迫るものがあったことです。

あと忘れてならないのが帝一の彼女であり、誰よりも冷静な視点を持つ美美子の存在。彼女だけが帝一を普通の男の子として見ているのですよね。選挙戦に没入するあまり周りが見えなくなってしまう帝一に提言を入れる・・・いや。単なる「ツッコミ」と言った方がいいかも知れないけれど、そのバランス感覚が良い味を出しておりました。

もちろん主人公である赤場帝一こそがこの物語の最大のディープインパクトであったことは間違いないと言えましょうか。いや、そのお父さんとの相乗効果で更にすごいことになっていたわけですが(笑)

事あるごとに父に助言を求める帝一。その2人のやり取りがコメディであり、しかしそこに流れる親子の軋轢と言いましょうか、掛け違えてしまった親子のボタンがちょっと物悲しかったり。

原作はもとより原作者である古屋兎丸先生のファンであり「帝一の國を実写化するなら自分が適役」と豪語してやまない菅田将暉氏の魂がこもった演技が最高に痛快だった次第でございます。

ある意味では「映画」として破たんしている部分があったようにも思えます。時に舞台のようにアドリブと言いましょうか、その場のノリで演出されたと思しき部分も見受けられたからです。しかしこの「勢い」を映像に収めることが出来たことこそが、この作品の最大の収穫であったと言うことができるでしょう。

原作にあった数々の名場面の再現が実に楽しい。既に知られるところでは学園祭での「裸太鼓」でしょうか。氷室ローランド陣営に就いた帝一が提案した演出でありました。みなふんどし一丁になり暴れ太鼓を轟かせる。この迫力を目の当たりにするために、これは絶対に映画館に行かなければダメだ!そう私に思わしめたものでした。今この原稿を書いている私も裸太鼓に倣ってパンツ一丁でしたためております(何の意味が?

ただまあ、お父さんが帝一に助言するとき、原作では背中に彫られた毘沙門天さまからお言葉を賜るわけですが、それがなかったのが唯一残念な点だったでしょうか。まあこのご時世ですから、様々な有事を考慮してのことかと思われるので、こればかりは致し方ないかと。もとよりこのシーンは恐らく出来ないだろうなと思っていましたが(笑)

全14巻からなる原作を最後まで描き切った1本。ということは当然かなり省かれたエピソードもあるのですが、圧縮されたと言った印象はなく、かと言ってダイジェストと言った風にそっけないものでもない。

それぞれの場面が繋がるように上手くオミットしながらコンパクトで小気味よいテンポを醸し出していた点は、原作を知っている側から見てもほとんど不安感はありませんでした。ただ原作を知らない方には駆け足に見えるかな?と思う部分もなきにしも。しかしネット上での評判を見るとそれも杞憂のようですね。大勢の方が納得して見ておられるようで安心しました。

惜しむらくはさすがに原作を一気にやってしまったのでもったいないというところ。途中でひと段落させ、続編を持ってくるという手もあったのでしょうが、ただ作品の性質上、この「熱さ」を保つには1本で潔くまとめて正解だったかも知れません。物語の端々に散らした伏線、それらを忘れないうちに拾うには最善だったと言えましょう。それくらい綺麗にまとまっておりました。

原作を読んでいた段階からこれはアニメよりも実写の方が向いているのではないか?と予想していたのですが、正にその通りになったと言いますか。そうそう、これこれ!この感じ!と納得の出来栄えであったと感動に打ちひしがれておる次第にございます。

期待通り、いやそれ以上か。菅田くんには及びませんが、私自身も原作の兎丸先生ファンでありますゆえ、とても喜ばしい映画化となりました。ジャンプスクエアが創刊当時、読者アンケートで「連載して欲しい漫画家」の欄に毎月「古屋兎丸」と書いていたことが叶ったのと同じくらい嬉しかった!

正に適材適所。キャストも、想いも、そのあるべきものが全て収まるべきところへ収まった映画。久々に映画冥利に尽きる作品を見た思いがします。実に痛快無比な映画でありました!エンドロールにかわいい仕掛けがしてあったのも楽しかったですw

余談ですが、昨年のジャンプフェスタで古屋先生と菅田くんを招いての制作発表があった際、スタッフの方がエキストラを募集していて、私もそのチラシを頂いたのですが「30歳くらいまでの、だけど高校生に見える男子募集!」という要綱に躊躇して結局応募しなかったことが悔やまれます。

だって私、もうダブル成人式を超えちゃってるんですもの!見た目は年齢不詳と言われますし「長髪オーケー!」の項目は満たしていたのですけど、やっぱりちょっと行き過ぎた年齢なので倫理的にどうかなと(笑)

ただまあ映画を見ながら「これがあのとき参加したエキストラの方々なのかなぁ」と、それがすごく楽しそうでちょっと羨ましいなぁと思っていたことを最後に告白させて頂きますw


@ちぇっそ@
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タグ : 帝一の國

2017/05/05 01:03 | 【NEW!!!】映画「帝一の國」COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

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