「昭和元禄落語心中 ~助六再び篇~」第12話 最終回

【第十二話】
流れ流れて・・・

幾年月。

まだ小っちぇかったぁ進之介は、今では二つ目を担うようになった。

小夏が八雲に対して抱いていた気持ちは、ありゃ恋心だったか。

もっとも、それが八雲自身に惚れたのか、それとも八雲の落語に惚れたのかは、今となっちゃあ当の本人も忘れちまった。

全焼した寄席が復活。そのこけら落としに合わせて、九代目八雲の襲名披露が行われた。

名を継いだのはなんと三代目助六。

助六が「七」を飛ばして八雲とはこれいかに。

これにゃ世間からもひと声あった。あまりに流儀が違うじゃないかと。

だけど九代目にはある想いがあった。

まったく流儀が異なるふたりの師匠の名を継ぐことによって、それが双方の弔いになるのではないかと・・・

以前の意匠を元にして建てられた新たな寄席は、古くて新しいものだった。

今この高座に並ぶは、洋の東西はいざ知らず、老いも若きも、そして男も女も関係なく、落語を愛する噺家でずらり埋め尽くされていた。

そうそう。小夏の姉御が晴れて歴史上、初の女流落語家になったのを忘れちゃいけねぇ!

初々しい進之介の落語が、まるでデヴューしたての与太郎のようであり(笑)

油の乗った真打・九代目八雲の鬼気迫る「死神」がオオトリを務めるに至ると・・・

なんと九代目にも見えちまった。

死神に連れられて寄席にやってきた先代がっ!

どうやら死神は今度の八雲も気に入っちまったらしい。果たしてこいつがめでてぇのかめでたくねぇのか。

それこそやばくなった死んだふりして逃げるしかねぇだろうが、もっともそんな演技なぞいとも簡単に見破られちまうだろう。

まったく新装開店早々、縁起でもねぇや!

「こんな光景が見たかった」

どっこい生きてた松田さん!

先代、先々代と八雲に使えて来た生き証人が、またひとつ、新たな師匠の元で新しい春の景色を見ることとなった。

花より団子ならぬ、花より噺。

こんな良いもんがなくなるわけがねぇ!

落語って、ほんとに良いものですねぇ。


<総評>
果たしてこれは叙事詩か、それとも大河ロマンか。

落語へ対する尽きせぬ愛情。「こんな話があった」「あんな話があった」「そんでなんかそれをおもしろおかしく語ってみせた」それが落語だとしたら、「だったら落語にまつわるこんな話があったらいいな!」それを体現して見せたこの物語はある意味で壮大なフィクションであり、空想の物語という意味で言ったら、ほとんど「ほら話」の域に達するものだったかも知れません。

だけどちょっとだけほんとで、それに枝葉末節をくっ付けて、その以外のほとんどが妄想で描かれていたのだとしたら・・・。

ここにあるのは、そんな落語の理想の姿であったのかも知れません。

助六こと与太郎が思い描いた落語の未来。それを実現したのがラストシーンであったと言えるでしょうか。

落語を語るのが人であるとするならば、落語はそれすなわちひとつの人格であると捉えることもできるかと。

二代目助六、八代目八雲、そして三代目助六であり九代目八雲である与太郎こそは、「落語」を示すアイコンであったと提言して良いかと思われます。

それぞれに色があった。その色はそのまま人生を映し、そして人格を示していたと言えましょう。

色んな形の落語がある。それは師匠によって違うし、また噺家によって変わってくる。

そこには違いはなくて、あるのは面白れぇか面白くねぇかだけ。

もちろん面白くなくちゃならないわけで(笑)、そこを目指して頑張っている限りは、それは立派な落語として、仲間に入れなきゃなんねぇかなとか思うわけでして。

あいや。トウシロが出しゃばったクチ聞いちゃって、さーせん(進之介の口癖がうつったかw

兎にも角にも、ここにあるのは落語へ対する愛情・・・あるいは愛憎かw

落語に魅せられた、あるいは狂わされた者たちの挽歌であったと言えるでしょうか。

こんな風に、落語を魔性のように描いた物語にぎょっとしてしまった。

古典の世界を視覚的に示した表現力。そして熟練した演者の名演を正に堪能した、正に目で見て耳で聞く文学であったと思います。

別の見方ではBL的な嗜好に合致するものがありましたが(笑)、しかそしれも全部与太郎の存在によってぶち壊されてしまった感が無きにしも(苦笑;

それよりなにより、松田さん、あのときまだ死んでなかったのね? まだ寿命があったのに、八雲師匠に引っ張られて死にかけちゃったのでしょうw

うん。おいらは信じるよ。八雲師匠を三途の川まで見送ったって!

そんなわけでお後がよろしいようで。ここらでおいとましましょうか。

これまで長い間、ごしいきご鞭撻のほど、まことにありがとうございやした!(そんなことあったかな!


@ムハンホウちぇっそ@
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タグ : 昭和元禄落語心中

2017/03/26 20:33 | アニメ感想COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

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