「昭和元禄落語心中 ~助六再び篇~」第11話

【第十一話】
ここは地獄か。極楽か。

「粋な黒塀 見越しの松に
 仇な姿の洗い髪
 死んだはずだよ お富さん~」

二代目助六こと、信さんの名調子に乗って・・・おっと。死んだのは信さん、おめえさんじゃなかったっけか?

じゃあなんで目の前にいるんでぃ。

「なんでって、おめえさんも死んだんじゃないか」

そう。八雲がいるもはまぎれもなく、あの世。容態ぇが急変し、ぽっくりいったんだと。

家族に見守られて向かえた最期。天寿をまっとうしたんだとか。

八雲が見た死神。ありゃ信さんが頼んで現世に連れてってもらったところ、すっかり八雲の落語に入れ込んじまったことによるそうだ。

ヤツがやらかしたことは許せねぇけど、あの世で八雲の高座が聞きたかったてぇんだから、あんまし責めてやる気にもならねぇがな!

あの世暮らしが長ぇ信さんがいろいろ案内してくれる。

ときに子供の姿になり、ときに青年の容姿に変化。あの世ってぇのは便利なところだ。

そこはまるで縁日かなにか。飲み屋や吉原まである。

どっちかってぇとあの世って言うよりは、スナック「ごくらく」とでもいった風情だろうか。

「ちょいと、あの世へ行ってくるよ!」

「あんた!小遣いなんてないよ!」

「あいよ、わかってるって!飲み倒れるまでの片道切符よ!」ってな具合か。

嫁としちゃあ、決してこれをきっぷがいいねぇ!とは言わねぇだろうなぁ。

ほどなくして、みよ吉とも再会した。

現世でのわだかまり。それは信さんもみよ吉も、そして八雲までもみな抱いていた。

だけど死んだら全てご破算。未練は置いて来た。募る話は数あれど、ここではみんな、そんな人情話は野暮なだけ。

それでもやっぱり心残りはある。残してきた小夏のことが気になるのだ。

「あたしたち、間違っちゃったのかな」

正しい人間なんていないという八雲。間違えて悔やんで、それが美しいんだと・・・。

気を取り直して落語でもすっか!

気がつきゃ寄席の前まで来ていた三人。全焼したからここに移ってきたんだとか。

もちろんこれはあの死神の仕業だが、悪いことばっかりじゃなかったってこったな!(おいおい。それでいいのかい!

先ずは信さんが前頭を務める。座席にはひとり、生前で一番大ぇ事な人を招くことが出来るという。

そこには小夏がいた。みよ吉が抱え上げ、膝に乗って父の落語に耳を傾ける。

信さんらしい楽しい落語は大喝さいのうちに終了する。

お次は八雲の出番である。

そこには進之介の姿が見えた。孫がお気に入りだった演目、「寿限無」を始めた八雲。

その声はどこまでも溌剌と、雪花舞う夜の寄席に響いていたのだった。

三途の川を渡りに向かう八雲。信さんは路銀が足りず見送りに来ただけである。地獄の沙汰も金次第というわけだ。

「いつかまた会える」

そう約束して、二人の盟友は懐を分かつこととなった。

八雲が乗り込んだ船。船頭が傘を外せば、それは松田さんだった。

どうやら八雲と時を同じくしてこの世を去ったようである。

生前、寄席までの送り迎えを務めてくれた松田さん。あの世に来てまでもまた八雲を送る役目を仕った。

これが主従冥利と言うのものか。

死んだ人間に「粋」(生き)な計らいをしてくれるのがあの世ってぇなら、なかなか捨てたもんじゃござんせんな。


@ムハンホウちぇっそ@
にほんブログ村 アニメブログへ
にほんブログ村
スポンサーサイト

タグ : 昭和元禄落語心中

2017/03/20 21:17 | アニメ感想COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 | BLOG TOP | 
FC2 Blog Ranking