「昭和元禄落語心中 ~助六再び篇~」第6話

【第六話】
これは未練か。それとも呪いか

「居残り」ってぇ言葉にはあまりいい印象がねぇもんだ。

「居残り勉強」に「居残り残業」どうしてもネガティブになっちまう。

だがこの日、助六が見せた「居残り」は正に会心だった。

倒れた八雲に付き添うつもりが、師匠が見せたそのまなざし「高座を落とすな」その目にはそう書いてあったように見えたもんだ。

助六はそれを察した。師匠のことは姉さんに任して、自分はお客の前へと出て行った。

そこには助六の世界があった。否、そこにあったのはただただどこまでも「落語の世界」だったと言える。

落語には三通りあると樋口先生は言う。

八雲のように「芸」として極めた落語。二代目助六のようにどこまでも自分に染め上げる落語。

そして三代目助六こと与太郎のように、どこまでも落語の世界に入って行く落語がある。

助六はこのスタイルだからあの場で落語が出来たと樋口先生は指摘する。

落語を自分と重ねるタイプはそのときのメンタルが影響する。しかし助六は「ただただ落語をする」だけ。そこにあるのは純然たる落語の世界なのである!

自分の想いを落語に託さない。これが助六の強み。

ここへ来てようやく自分の落語を見つけた三代目であったが、当の本人はそんなことまったく意に介しちゃいない(笑)

それよりも師匠に見せられなかったことが心残り。最高の「居残り」。もし見ていたら師匠はこれに何点付けてくれたことか。

果たして八雲の容態やいかに。

八雲の代役をこなしながら、助六は相変わらず忙しい毎日を送っていた。

ちょうどそのころ、寄席を立て直す話なんかも出て・・・耐震基準が変わったとかなんとか。

どうにも役所がうるさいらしい。

客の安全はごもっともだが、それと同じくれぇ、寄席を愛してくれる人情も大事にしてぇ。

そもそも建て替える金もねぇだなんて、とんだオチがついたもんだ。つぶれてお陀仏になったら、それこそ宵越しの金などいらねぇわけで・・・なんて言ったら不謹慎か!

あれから数週間。

あのとき萬口の応急処置のお陰で一命をとりとめた八雲・・・もともと医学を志していたとか。芸は身を助くじゃあないが、人を助けることが出来た萬月である。

見舞いに来ていた助六のせがれ、紳之助が八雲の異変に気がついた。

「おじいちゃん、泣いてる?」

その後、ゆっくりと目を開けた八雲。

「未練・・・だねぇ」

まだ生きている。八雲がつぶやいたのは、恨み節ともとれる一言であったが。

あのとき、生死の境で見た二代目助六は、八雲を殺そうとしている風に見えた。

でもありゃ違ってたんだ。

てめぇはこっちにくるにゃまだ早すぎる。

生き残れ。この世に「居残れ」よ!

そんな気持ちで八雲をうつつへと引き戻したのかも知れねぇ。

そう思えば「居残り」もちったぁ良い意味に思えてくるってぇもんだ。


@ムハンホウちぇっそ@
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タグ : 昭和元禄落語心中

2017/02/12 21:27 | アニメ感想COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

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