「甲鉄城のカバネリ」第12話 最終回

【甲鉄城】
後に線路はなく、前へ伸びるだけ!

自らに黒結晶を投与し無名を救いに向かう生駒。願いはただひとつ、無名を人間に戻す!それだけ。しかしその前に立ちはだかるは美馬。父親親殺しであり、怨恨に生涯を費やした男がそこにいるのだった。

自身の恨みの元凶を生み出した父を殺した美馬は、そこで人生の目的を全て遂げていたと言えます。次は何を破壊しようか。その言葉は将来を考えあぐねているようであり、目標を失って呆然としているようでもありました。

そこへ現れたのが生駒でありました。ある意味で生きるよすがを失った美馬にとっては格好のターゲットだったと言って良いでしょう。もちろんお互いに因縁がある。決着を付けるには最高の舞台が整ったと言えます。

苦戦を強いられますが、生駒の逆転で美馬は瀕死に。ちょうど無名を見つけて白結晶を打つことが出来、寸でのところで元に戻すことに成功。するとそこへまだ息のあった美馬が迫って来た、そんな場面でありました。

最期、美馬にとどめを刺したのは無名でした。主従関係、あるいは親子に近い関係だったとも言える2人。そこに見られたのはどのような心境の変化であったでしょうか。

「強くなくても生きて行くよ」

それが美馬に対する無名の気持ちでありました。果たしてそれでも尚、親のような存在であった美馬に刃を向けることが出来ただろうかと考えるといささか説明不足の感がありましたが、何より彼女にとっては生駒が大事に思われ、そして彼を守ることを第一に考えたということ。それが美馬との完全なる決別を示す確たる証拠であったと考えるべきなのでしょう。

金剛郭から脱出を試みる甲鉄城。後を追う無名と来栖。そして傍らには美馬との戦闘で意識を失ったままの生駒が抱えられている。飛び移る3人を受け止めた甲鉄城の背後では、線路がなだれ落ちて行く。そして瓦礫に埋もて行く美馬の遺体・・・

言ってみれば、美馬とは因縁の象徴であったように思われます。そしてそれは線路という、どこまでも続くレールによってどこまでも続いて行くような印象があった・・・しかし今は違う!

美馬は死に埋もれて行った。そして線路は崩れ去り、後から続くもの無し。

このシークエンスが示していたもの。それは負の連鎖の断絶であったと捉えることが出来るかも知れません。復讐の鬼と化した美馬を葬り、線路の切断によって恨みが途切れるというメタファー。

それはカバネの恐怖に震える人民に対して喝を入れ、「撃ち抜くべきは他者を疑う己の心です!」と言った菖蒲姫の言葉にも示されていたように思います。この言葉によって甲鉄城に蔓延していた疑心暗鬼が一気に払拭されたように見えました。

一命をとりとめた生駒。どうやらあの戦闘の中で、美馬が生駒に解毒用の白結晶を投与していたようです。恐らくあのとき美馬は自分の最期を覚悟していたのでしょう。

甲鉄城が目指す先。それは長く果てしないものかも知れない。しかし今度目の前に続くのは、希望に満ちた未来であると信じたい。


<総評>
不覚にも甲鉄城に飛び乗ったが態勢を崩し落ちそうになる来栖に手を差し伸べて引っ張り上げた菖蒲さまの姿・・・来栖と手を取り合うその光景にぐっ!と来てしまいました。

かなり詰め込まれて駆け足気味に駆け抜けた最終回、正直なところ、何が起こっているか定かでない部分もありました。だけどこの菖蒲さまと来栖の場面で全てを許してしまったワタクシがおります(笑)

この物語が伝えたかったもの。それは最終回の感想に書いた通り、負の連鎖の断絶にあったのではないか。私個人の考えではそのように感じられました。

言うまでもなく、人の恨みを断ち切ることは非常に難しい。しかしこうしてそれを実現してしまったこと。もちろん本当の意味での平穏はまだ先なのでしょうが、「線路」というモチーフを引用し、負の連鎖が断絶するイメージを作り上げた演出。実に見事だったと言う他はありません。まあ私の見解が正しいとするなら、ですが(笑)

映像的に言えば本当にもう大迫力。テレビシリーズであることが信じられないクオリティであったと感嘆するものでありました。美樹本氏によるキャラデザは弱冠古臭さは感じるものの、その劇画調のタッチが作品背景に実によくマッチしており、映像に深い陰影とダイナミズムをもたらしていたように思います。

描きたいところがはっきりと感じられる作劇。作品の見せ場、クライマックスにおける瞬発力は全くロスがなく、「魅せたいものを見せる」という制作側の意図が申し分なく伝わって来ました。素晴らしい仕事!

語りたいことはこれで一通りでしょうか。と言いますか、この作品に至っては語り過ぎるのは野暮な気さえします(笑)

制作会社が同じなのでどうしても「進撃の巨人」を意識してまうことは確か。そんな期待と不安を同時に感じていた当初・・・ある意味でそれは想定通りと言えますがw

ひとつの結論を見せたと言った意味では、いつまで経っても謎だらけの「進撃~」よりもスカッと爽快な気分になりました(笑)

人とカバネによる大スペクタクル。アニメの本気を見た!久しぶりにそう感じさせてくれた作品でした。またこうした企画、アニメが見られたら嬉しいです!


@ムハンホウちぇっそ@
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タグ : 甲鉄城のカバネリ

2016/07/01 23:01 | アニメ感想COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

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