不可解な修理依頼

注)以下、「夢」で見た話になります。

----------------------

私は補聴器のメーカーに勤めている。

私が担当するのは補聴器本体ではなく、その先端にあってちょうど耳に挿入する部分でイヤモールドと呼ばれる、いわばオーダー型のイヤホンの制作や修理受付である。

耳型を採って制作されるそれは、音漏れはもちろん逆に雑音を防ぎ、効率よく音声を鼓膜へ届ける役割がある。

ある月曜日のこと。出社してみると、西日本のとある店舗から修理の依頼が届いていた。

「修理品です」

と言って入荷担当から手渡されたものを見て、私は思わずこう思った。

「こんな補聴器みたことねぇ!?」

それは針金のようなもので作った三角柱の骨組に、透明なラップを巻いたような形をしていた。2つのハンガーを30センチほど間隔をあけ、それぞれの3つの角を別の針金で繋いだような形と言えば、イメージが付くだろうか。

しかし驚くのは、その中は水で満たされており、ついでに3匹ほどの金魚が優雅に泳いでいる代物であったことだ!

「これで一体どうやって音を聞くのだ?」

私が思うのも不思議ではない。私が知っている補聴器とは似ても似つかないものだったからだ。

例えばそれを平置きにし、そこへ横向きに寝て、枕のようにしてこのラップの面に耳を当てるのだろうか。

しかし果たしてそれで音が聞こえるものだろうか。単純に考えてまずそんな効果はありそうに見えない。

そこで注文書の内容を確認してみることにした。そこには壊れた原因と経緯が書かれてあった。

「部屋の掃除をしようとしたら、家族からやめろやめろと言われたけれど、天上の掃除を始めたところ、戸棚に置いてあった父がとても大切にしていた花瓶を割ってしまい、怒った父がビール瓶でふるぼっこ、横殴りにされて補聴器が全損」

いささか電波系が入っていなくもない文章と、にわかに信じられない話に思わず戦慄が走った自分がいた。

それはそうと破損した内容はともかく、今はこうして舞い込んだ依頼をなんとかしなければならない。しかしこれ、直せるんだろうか?

イヤモールドの制作・修理は外注になっており、そこへ依頼を出すのが私の役割だが、こんな見たことないイヤモールドなど果たして修理してもらえるのだろうか。

ただその外注先は、ある意味でチャレンジ精神旺盛なところなので、あるいは?という期待が湧いたのも確か。

とまあ、しかしよくよく話を聞いてみると、この前代未聞の修理依頼が届いたのは日曜日の話。休日出勤していた別の社員が事前にこれを受け取っており、補聴器とイヤモールドの修理はとっくに手配済みとのこと。

始めに荷物を受け取った社員が言うには、予め担当営業の方から連絡があり、件の理由のため最速で処理してくれと話があったそうだ。なので実質、現段階で私がすることはない。

ただこの金魚はなに?

どうやら、この顧客がビール瓶で殴られた際、飛び散った破片が庭にある池へと散乱。池の水を抜いて掃除をするため、金魚を一時避難させたようなのだ。恐らくは、家の縁側か、騒動の末、庭へ逃げ込んだなんてことがあったのだろう。

そしてその金魚まで何故かウチへ送られてきたのではないかと推測される。

ビール瓶で殴る家族も家族なら、依頼書の内容も電波。しかも補聴器と何ら関係のない金魚の避難場所にまでされるとは。

まったく不可解な事件の顛末は、このようにして最後、辻褄が合ったのだった。


@ちぇっそ@
にほんブログ村 オヤジ日記ブログ お茶目オヤジへ
にほんブログ村
スポンサーサイト

2015/03/04 05:32 | ちぇそもさ夢コレクションCOMMENT(0)TRACKBACK(0)  

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 | BLOG TOP | 
FC2 Blog Ranking