「アジアの嵐」

そこはモンゴル。外国人の介入により労働を搾取される遊牧民たちがいる。猟師のチムールは毛皮を売りに市場へ出てくるが、上等な銀ギツネの毛皮を二束三文でアメリカ人に買い取られてしまう。白人とひと騒動起こしてしまった彼は、ほとぼりが冷めるまで山へ引きこもることにした。チムールはそこでパルチザンたちと行動を共にするようになる。しかし彼は捕えられ射殺命令が下った。ところがひょうんなことから、彼がチンギス・ハーンの末裔であることが判明し、高官たちは彼を呼び戻すのだったが・・・。


オリジナルは28年の制作だが、今回鑑賞したのは、短縮とラストの改変がされたサウンド版。

ここでもまた、過ちを犯した者が民族解放運動の先頭に立つと言ったような、プドフキンお得意のテーマが貫かれている。パルチザンの中には女もいて、男同様に戦場に立っている。「戦う女」と言うのも、プドフキン作品にはよく登場するモチーフである。

搾取する側の人間、アメリカ人やイギリス人に代表される西欧人は、一様にデフォルメされている。

チンギス・ハーンの末裔だと分かったチムールを利用し、外交に役立てようとする西欧人たち(とは言え、半ば見世物としてだが)。しかし彼らの欺瞞に耐えかねたチムールは、遂にその怒りを爆発させる。凄まじい力でもって大テーブルを放り投げ、組みかかってくる敵をつまんでなぎ倒す。窓から飛び出したチムールは馬に跨り大草原を駆けてゆく。彼の呼びかけに応じて、モンゴルの仲間たちがチムールの後に続くラストシーンで終わる。


<ひとくち感想>
ラストのアクションシーンが、主人公がモンゴル人だけにちょっとした武峡映画みたい(笑)。画面はモノクロですけど、銀ギツネの毛皮はツヤがあって本当に良質であることが伺るほど。実物を見てみたかった。フィルムがどの程度短縮されているのか定かでないですが、途中に挟み込まれる式典のようなシークエンス、その後に続く場面などが唐突な気がしました。プドフキンのもうひとつの代表作である本作、その片鱗を伺うといった程度でお慰みを。


【作品情報】
1928年・87分
監督/フセヴォロド・プドフキン
原作/イワン・ノヴォクショーノフ
脚本/オシップ・ブリーク レフ・スラヴィン ウラジーミル・ゴンチュコフ
撮影/アナトーリー・ゴロヴニャ
美術/セルゲイ・コズロフスキー
M・アロンソンサウンド版音楽/ニコライ・クリューコフ
出演/ワレーリー・インキジーノフ アナトーリー・デジンツェフ リュドミラ・ベリンスカヤ アネリ・スダケーヴィチ ボリス・バルネット


@ちぇっそ@
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タグ : フセヴォロド・プドフキン

2009/02/10 21:56 | ロシア映画COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

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