チェチェンへ!そして無声映画の時代へ!

今日は絶賛上映中のアレクサンドル・ソクーロフ監督作「チェチェンへ アレクサンドラの旅」を観にユーロスペースへ行って来ました!

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<チェチェンへ アレクサンドラの旅>

誰を置いても現役で活動中の監督の中では、世界最高だと個人的には信じて疑わないソクーロフの最新作。夫を失い、孫のデニスが駐屯するチェチェンの前線基地へ赴くアレクサンドラ。よわい80歳にして、未知の世界へと放り出された老女を待ち受ける運命。

一見して、かつてのソクーロフらしい作品だと感じました。全編がドキュメントタッチ。坦々と、無慈悲に、カメラは戦争のなんたるかを映し出します。それは88年制作の「日々はしづかに醗酵し・・・」を思わせる荒涼とした砂と土の世界。

あれから20年経った今でも戦争は終っていない。それゆえ今度の作品には、かつては見られなかったような慈愛と郷愁が情緒的に描かれていたように感じます。「日々はしづかに~」の現代版と言えるかも知れない。しかし映し出される世界は更に深淵になり、そして現実の深刻さは増している。

カメラはアレクサンドラの視点となり、またときに従軍している兵士の視点へと移ることもある。戦争を捉えるのではなく、戦争を実体験している人間たちの中へと紛れ込んでいるのです。そこにあるのは戦争に対する批判ではない。戦いの中で祖国や家族を想い、そして自分が果たすべき責任をまっとうしようとする、ひとりの人間がいるだけ。

作品としていささか地味ではあります。初心者が見るにはには多少辛い映画かも知れませんが、未だに映画監督/ドキュメント作家として、凄まじい進化を続けているソクーロフの円熟を感じることは出来るはず。全編がご当地チェチェンで撮影されたと言うその気迫にこそ圧倒されるのです。

とまあ、感想はこんな感じですが、このところのソクーロフはホントに凄い!この10年くらいの間に撮影した作品は、全て「代表作」と言えるんじゃないですかね。信じられないバイタリティ!

もちろん既に世界的に高い評価を受けている監督ですが、それでもまだまだ足りない!ソクーロフ元気なうちにもっともっと崇拝しましょうよ。ってね。


それでもって映画を見終わった私は、銀座のフィルムセンターで開催中の「無声時代のソビエト映画ポスター展」へとお邪魔しました。

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無声時代のソビエト映画ポスター展

ソビエト映画ポスターに辿り着く前に、日本映画の歴史も展示されており、特に黎明期の10年代~20年代の資料なんて興味深過ぎて食い入るように見てました。発掘された映画のテレビモニター上映などもあり、当初はもちろん海外映画の模倣から始まったのでしょうが、それでも当時日本映画の革新性や実験精神など、現在と遜色ないことに驚かされました。

20年代の時点で、既に塚本信也ばりのギミックを駆使し、狂気の精神世界を描き出していた作品もありました。タイトル忘れましたけど、女房が精神錯乱を来たし、お陰で旦那も心労に陥るとか言うお話。足を血まみれにしてまで踊り狂う女房が、怖い!

ソビエト黎明期の映画工房、メジラポム・ルーシ。またはゴスキノやソフキノなど、思わず遠い目をして想いを馳せてしまうような、憧れの時代の映画ポスターにうっとり。

あ、ここにプドフキン!こっちにはドヴジェンコ!プロタザーノフにユトケーヴィチ!おお、コマロフの「メアリー・ピックフォードの接吻」まである!そしてキター!エイゼンシュテインの「十月」ポスターが2種類も!

いやもう楽しすぎて展示室から出たくありませんでした(笑)。と言うか、このままここに住みたい!自分の部屋にして、大好きなソビエト映画ポスターに囲まれて過ごしたい気持ち。もし借りられるとした、家賃いくらでしょうか?

3月まで、ひと月ごとに展示物を入れ替えて開催されているので、少なくともあと2回は足を運ぶ予定です。

入場料も大人200円なのでお手軽に訪問できますよ。ちょいと気取ったアカデミックなデートにも最適。ロシア映画に興味なくても、アヴァンギャルドな図柄で楽しませてくれるので、「絵」とかやってる方などは刺激を受けられるんじゃないですかね。再三言いますが、貧乏人にも優しい価格設定だし。

と言うか、今フィルムセンターでは日本の「怪獣・SF映画特集」やってたんすね。今日は時間がなくて見れませんでしたけど、やばい。「第三次世界大戦 四十一時間の恐怖」とか「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」なんて面白そう!


@ちぇっそ@
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テーマ : 映画感想 - ジャンル : 映画

タグ : ソクーロフ

2009/01/17 20:04 | ロシア映画COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

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