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「超訳百人一首 うた恋い。」第13話 最終回

【「定家と式子 式子内親王 権中納言定家」】
私と、恋をしましょう。


最後は番組ナビゲーターとして、これまで数々の歌を紹介してくれた藤原定家本人の恋のお話でした。

歌人の家に生まれ、その才能はあるが家督を継ぐ気はない定家に頭を悩ます、父・俊成。孤高の歌人・西行法師との出会いが、歌の道へ進むことを定家に決意させるが、「おまえそれただのミーハーじゃないか」と父にたしなめられてしまう。定家は西行のアウトローなところに憧れたのだった。そんなおり俊成は、彼が指導している式子内親王から、それなら定家を私のところへ寄越してくれないかと提案される。式子さまなら愚息の目を見開かせてくれるかも知れないと、俊成は期待するのだが・・・。

アウトローな西行法師って、まるで尾崎何某みたいなイメージですかね。彼に憧れて大学中退。その後はギター片手に社会への不満をぶちまける。そんな破滅的な人生が目に見えてしまいます。当の本人が悲惨な最期を向かえましたからね。

いやぁ。未だにバンドとかやっている私にとっても、耳の痛いお話でした。

それはともかく。

式子と会った定家は、「恋愛ごっこ」をしようと誘われました。それは定家の歌にはまだ心がこもっておらず、実体験を通して想像力を高めて行こうと言う意図が込められていました。「ごっこ」遊びも練習の内と言うわけ。

このとき式子が良いことを言いましたね。「体験していないから読めない、では先がない。歌は想像力が大事」だと。

これは私自身も常々思っていることなのですが、経験していない部分を補うのが想像力であり、これはもちそんクリエイティヴな場面でも役立つものですが、更に言えば普段の生活において「他人を思いやる心」を養う上でも重要であると考えるのです。

他人との間には必ず意識の齟齬がある。それを補って、建設的な結果に結びつけるのが想像力の為せる業。決して馴れ合いと言うことではありません。これ以上説は教臭くなるので止めますが、言いたいことはなんとなくお分かり頂けるかと思います。

さて、この「ごっこ」遊びが、定家と式子の間に思わぬ結果を招いてしまうことになります。そうです。予想通り、2人はいつしか本当の恋に落ちてしまったと。

2人の本心を引き出すきっかけとなったのが、定家に舞い込んだ「見合い話」でした。それを式子に告げたところ、突然彼女は「その方とご結婚なさい」と定家を突っぱねてしまいました。

これは定家のことを思っての言葉でした。自分との遊びに興じてないで、家を継いで立派になりなさいとの、式子の思いやりだったのですね。ところが・・・。

ここで定家は「私はあなたが本当に好きなのだ」と告白します。

偽りのない思いをぶつけ合った、このときの2人のやり取りが大変に切なかったですね。

身分が違うため、始めから2人の恋は実らぬものでありました。これまで忍ぶ恋を続けて来たけれども、はやる気持ちはもはや抑えきれるものではない。

しかしプライドを傷つけられ、「もう会わない」と言った定家に対し、「こんなままごとでも、束縛された生活を余儀なくされる自分には、憩いの時間なのよ」と訴える式子。

なんて悲しいんだ!ほとばしる熱情、その瞬発力が過去最高でした。

さすが定家さん、良い話を持ってるじゃないですか。破壊力抜群のエピソードで締めくくれらた最終回でした。


<総評>
何故、藤原定家が歌を世に残そうと歌集を編纂したのか。

それは自分たちが生きた証しを、後世の人々に伝えたい想いがあったからでしょう。それも、自分たちはこんなにも人間らしく生き生きと暮らしていたのだとする、ポジティヴなメッセージを込めて。

時代の流れは栄華を誇ったものを衰退させ、新しきをいずれ廃れさせるものだけれど、歌に込められた人の想いはいつまでも寂れることはない。

これら古代人が綴った歌を詠むとき、そこには新鮮な息吹きが感じ取られ、あまつさえ共感すら覚えるときがある。

これこそ何百年もの間、想いが生きている証しではないでしょうか。

定家さん、あなたの試みは大成功しました。私たちは古代人からのメッセージ、しっかりと受け止めましたよ。

歌とは、まるで過去から届いた手紙のようであります。それも言葉少なくして最も饒舌な、最高のコミュニケーションツールではないでしょうか。

だから、「恋をしましょう」と手紙が届いたなら、時間を超越して愛し合うことだって不可能じゃない。

「ラヴレターフロム何か」

古代からのラヴレター。私の元にも一通、配達されてこないものだろうか・・・。

なんてねw

独特な味わいのある絵柄があり、古風になり過ぎない脚本の言葉選びは、古典にありがちなとっつき難さを解消してくれました。

スタイリッシュでありながらも、より情緒的に描かれた和歌の解釈も素晴らしいものがありましたが、関連する和歌の選出センスには毎度脱帽させられました。

友人同士、またはライバル。はたまた親子の間で詠まれたものなど、相反するもしくは共通した内容を持つ歌の対比が、一部の隙もなく噛み合っていたことに畏敬の念を禁じえません。

ほとんど神懸かっていたと言っても過言ではないかと。

このように誉れに尽きませんが、きりがないのでここらでお開きと致しましょうか。

最後に一句・・・と詠みたいところですが、教養がないので何も思いつきませんw

こんなに素晴らしい時間を享受できたこと。日本人に生まれてよかったなと思いました。


@ムハンホウちぇっそ@
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タグ : 超訳百人一首うた恋い

2012/09/25 23:15 | アニメ感想COMMENT(0)TRACKBACK(11)  

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