「LUPIN the Third～峰不二子という女～」第10話

【死んだ街】
アゲハチョウのシークエンス。舞い落ちる鱗粉がルパンをワンダーランドへ誘い込む。

峰不二子の過去に最大限迫ったエピソードとなった。

製薬会社の実験台にされていた峰不二子。父は研究者で、自分の娘を被験者にしていたのだった。

奇妙なフクロウ男から「峰不二子を盗んでくれ」と依頼されたルパンは、アルメイダ伯爵が運営する企業（と言うことでよいのだろうか）、グラコス製薬へと潜入する。ここでは麻薬精製を営むと言う噂もあり、作られた麻薬はフロイライン・オイレと言う教団へと流れているらしい。

件の教団は第一話目で登場している。このことからルパンは、峰不二子の過去へ直接に関係のある案件に着手していたことになる。つくづく因果応報を覚える。

研究の拠点となった街へ赴いたルパンだが、そこはかつて起こった事故によって閉鎖されていた。現在は捨てられた、死んだ街なのである。

ルパンはこの死んだ街で、峰不二子の父である研究者と、そして過去の峰不二子と出会うことになる。全ては虚構なのか、それとも幻影か。これらはアルメイダ伯爵による魔術だったのであろうか。

この幻覚とも思える悪夢のような幻想はしかし、この土地に残る峰不二子の思念がルパンに見せた現実、もしくは「峰不二子の真実の物語」なのかも知れない。過去の峰不二子が訴える「私を捕まえて」と言う言葉は、一方で「私を救って」と言う風に聞こえる。

今や峰不二子の過去に囚われてしまったルパンは、彼女を捕まえることでしか、この世界から脱出することは叶わないのかも知れない。

しかしながらルパンと言う男は、果たして未来永劫、峰不二子から解放されたことがあったろうか。

現在のルパンを顧みても、そこには峰不二子が吐き出す蜘蛛の糸に絡め取られた男の姿を見るだけのような気がするのだ。

峰不二子が紡ぎ出す糸の絡みは複雑だ。先ずはその第一糸を解きほぐそうか。


＠ムハンホウちぇっそ＠

にほんブログ村