新潟 ~帰省 1日目~

このところのすったもんだのせいで、特に心機一転しようなどと言う目論みがあったわけでもないのだが、結局田舎へ顔を出すことに決めた今年の正月明け。

元日、2日と、お袋が民宿の手伝いに借り出されると言うので、休みがもらえる3日に合わせて、2日の夜に実家へ到着するよう出発する。

昼間のうち、この帰省中に読んでおくための文庫などを買いに出る。遠藤周作でも読んでみようか。

手っ取り早く、古本で落ちていた「白い人 黄色い人」と言う作品をチョイス。

冬に田舎へ帰るのは何年ぶりだろうか。10年ぶりかも知れないが、雪化粧した故郷の記憶は昨日のことのようにはっきりしているので、まるで久しぶりな感じがしない。心の中ではいつでも日常なのだな。

午後3時12分東京発ときMAXの2階席に乗り込む。帰省ラッシュは完全に過ぎているので、自由席ならどこでも座りたい放題だ。

夕暮れが近づいていた。山腹に沈む太陽のところだけをちょうど雲が覆い隠しており、そこから漏れる日差しが神々しく金色に光っている。

早速ページを開いた遠藤周作のキリシタン臭い小説と妙なマッチングをする。ベタ過ぎてつまらないな。

土地開発の進んだ地域をひた走る車両。どこまで行っても区画整理の行き届いた住宅街。

あそこの土地でも、こちらの地所でもクレーンが幅を利かせている。

大方、大型マーケットでも参入するのだろう。昔から地元に根ざしている商店街などそっちのけ。こうして地域からは特色が失われて行く。どこまで行ってもつまらない風景は大宮辺りまで続く。

しかしそのつまらない風景から何故か目を逸らすことが出来ない。俺はここに長く住み、ここで暮らして行くしかないのだから。つまらないからと言って、目をつぶっていては生活が出来ないからだ。

ああ、なんてつまらない人生なんだろう。

田舎へ着く頃にはすっかり夕闇が落ちていることだろう。久方ぶりの田舎の風景を楽しみたいなどと言った感慨もなく、どの道、大清水トンネルに入ってしまえば昼間でも景色など眺められないのだから、真っ暗闇とて変わりがない。

越後湯沢へ到着。在来線に乗り換えなのだが、わざと一本ずらして(1時間遅れることになるが)、お土産屋が軒を連ねる奥の奥、「ぽんしゅ館」へと足を向ける。その店名からお察しの通り、新潟の地酒ばかりを勢ぞろいさせた、呑んべえにとっての夢の宮殿である。

駆けつけ3杯じゃないが、500円を出せばおちょこに5杯分の利き酒が出来る。田舎へ来るたびに気になっていたのだが、実は挑戦するのは今回が初めて。ほとんど遊園地へ連れて来られた子供の気分でのれんをくぐる。

500円を払うとメダルを渡され、それを各酒(正に各種・各酒だ!)注ぎ口脇にあるコイン投入口へと入れ、おちょこをセットしてボタンを押すと、ほどよい具合に冷やした冷酒が注がれると言う寸法。さて何を飲もうか。

今回は5酒を試した。新潟県民である俺が感じた率直な印象を記して行こう。いわゆる特定名称は覚えている範囲でのみ記しておく。基本は銘柄のみ。

先ずは「越後府」すっきり辛口だが少し物足りない気がする。鍋には合いそう。

「鶴齢・純米吟醸」すっきり咽喉越しが良いがしっかりした飲み応えがある。これはイチオシで気にいった。例えば「獺祭」なんかに余裕で匹敵すると思うのだがいかがだろうか。

「鶴亀」新潟まったり系の典型。好きではない。

「長陵」これも同様に新潟まったり系。いまいち。

「能鷹」先の2酒よりは辛口になるが、新潟まったり系はやはり好きになれない。

とここで、私が「新潟まったり系」と言っているのを解説しよう。

あくまで個人的な印象なのだが、すばり「八海山」や「越乃寒梅」を指しており、<田舎を思い起こさせるから懐かしい味なのだが、同時に垢抜けない味でやっぱり好きにはなれない>味のことを差す。

「八海山」や「越乃寒梅」はいわゆる「麹」を味わう酒なのではないかと思う。このいささか、かび臭いと言うかすえた麹の臭いを楽しむ、と。つまるところ年季の入ったワインをたしなむ要領で味わう必要があるのかも知れない。

しかしその点が、私を含め地元民の多くからはあまり好かれない理由になっているかも知れない。決して「高いから」ではなく、単純にあまり美味しいとは思えないのだ。

ちなみに地元では「鶴齢」の2級酒の方が旨い!と言うのがもっぱらの定説である(本当に旨い)。

しかしまあ確かに「新潟らしさ」はこれらが体現しているので、県外でもてはやされることに悪い気はしていないのだが、歯がゆい思いのあることは否めない。もっと旨い酒が新潟にはある!と主張したいところではある。

ただ念のためエクスキューズを入れておくと、「新潟まったり系」は熱燗が合うのではないかと思う。「こんな貴重な酒を熱燗なんて不届きな!」とお叱りの声を頂くやも知れぬが、香りの高い酒はむしろ熱燗には向いてない気がする。「八海山」や「越乃寒梅」は熱燗でいきたい。

隣りの販売所でまた試飲。今度は4酒ほど。

「初梅」清酒。とにかくすっきり。悪くない。

「初梅」同じく初梅だがこちらは大吟醸。芳醇になりちょっとまったり。悪くはないが値段が倍に跳ね上がるので購入には躊躇する。

「蔵開き」原酒。すっきりだが飲み応えあり。このインパクトにやられて購入することにしたが、度数が高めで甘ったるいので杯を進めると飲み飽きてくる。ウチのお袋は飲み飽きなかった。女性向きか。充分に冷やしてからどうぞ。

それから銘柄は忘れたが、にごり酒も頂いた。すっきり味。

さて、時間が来たので在来線の切符を買う。

時間までに出店で焼きたての鶏もも串を1本ほおばる。朝にモスバーガーで直火塩バターチキンバーガーを食べたきりだった。

上越国際スキー場前で下車すると、お袋が車で迎えに来てくれていた。ここから歩いても15分程度なのだが。

駅舎すらない粗末なホームだけの駅。実家にいた頃にはなかった駅で、今回初めて下車した。はじめてづくしだな。

なんて簡単な駅なんだと呆気に取られた。

実家に帰り着くと、早速一番したの妹の子供に懐かれる。

去年、その下に妹が生まれており、親から疎外されている様子で人恋しいらしい。

これまた難しい年頃だ。まあ田舎にいたって何をするってこともない。何かするべきことがあるなら、こいつを相手にしていた方が気が紛れるだろう。

この俺を、せいぜい親の寵愛を得られぬことのはけ口にでもしてくれればいい。


@ちぇっそ@
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2011/01/02 23:59 | エッセイ的なものCOMMENT(0)TRACKBACK(0)  

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