手をこまねいて見るもの

嵐のような朝だった。

師走はどこかへ走り去ってしまったのだろうか。春の嵐のごとき生ぬるい空気。

日中は夏日となり、しかし晩には気温が急降下すると言っておきながら、帰宅した午後8時現在、未だ気温下がる気配がない。そうなるだろうと思った。

寒暖の激しさを予想した天気予報は、それほどセンセーショナルな記事が欲しかったのだろうか。

商売や単なる話題作りではなく、もっと常識的に考えて前線の浮き沈みを読んで欲しい。地熱で暖まった地面がそれほどの短時間で冷え切ってしまうわけではないのだから。

予め失われたものがあったとして、しかしそれを陵辱されるような場面を目にしていながら、やはり心中穏やかならぬものを覚えてしまうのは、それは俺の傲慢さが為せる業なのだろうか。

「想う」ことが我儘なら、「身を引く」こともまた自分本位と言える。それは自己の中で完結した出来事だからだ。

「他人を思い遣る」ことなど本来なく、「他人を思い遣っている自尊心が自己を充足させる」ことに他ならない。つまり「他人を想っている『自分』を想っている」ことに繋がる。

俺は手をこまねいているだけで、見るに耐えぬ光景からただ目を逸らしていただけ。自分勝手に他人を思い遣ることで、むしろその人を傷つけていたのかも知れない。

バックアップがないから俺はいつも踏み出せないでいる。そのバックアップとは何か。つまり後ろ盾であり、それは権力であったり経済力であったりする。そこから生まれる「自信」こそが男にとって最大のバックアップとなる。

今の俺には何ひとつないものだ。ひいては、未だかつて俺が手にしたことがないもの。

だから俺は何も手にすることがなかった。そしてこれから先もそうなのだろう。

今ではもう遅すぎた。もっと早くに築き上げねばならなかったものを、自身の怠慢によって確立することがなかった。

行き着く先は破滅なのだろう。そんなのとっくに分かっていた結末じゃないか。

嵐の名残り。吹き止まぬ強風の影響で、帰宅の電車が運行を見合わせていた。

しかし間もなく動き出した電車に乗ることが出来、のらりくらりした徐行運転に揺られて大分遅れて帰り着く。

最近よく通っている飲み屋で一杯。

ホッピー黒を中お代わり。お通しと、とん串盛りをオーダーしてちびりとやっていた。

あともう2、3杯。にぎりめしと、身体が暖まりそうなカニ汁を追加しようと思っていたところで、それまで閑散としていた店内が急に賑やかになってくる。

注文が殺到し、まかないのおばちゃんがおたおたし出したので、ここが潮時かと思い「おあいそ」する。

タバコがもう一本吸いたいところだった。


@ちぇっそ@
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2010/12/03 22:08 | ハードボイルド日記COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

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