置き去りにされなかったもの

寂しい夜。

正に燃え盛るようだった今年の夏は今や消し炭と化した。

しかしセンチメンタルと言う名のぬるま湯から俺を引き摺り出し、みじめと言う名のドブに放り投げるような寒波はまだ到来していない。

曖昧な季節の考え事は煮え切らない想いでいつも錯綜する。

俺は今日何かを置き去りにして来てしまった。

置き去りにして来たもの、あるいは想いをかければ置き去りにされなかったかも知れないものに対して、語りかける言葉が見つからなかったわけではない。

俺の中には、言葉がなかったからだ。

語る言葉の数で人としての存在感が示されると言うのなら、俺は寡黙で空疎な隙間だらけの人間だ。

実体がないから見つけられることもない。

口から先に生まれてきたようなヤツは、あまたの言葉の小槌で金塊を薄く引き延ばした金箔のような人間だ。

浅はかなメッキで自らを飾り立てる。

どちらが価値あるものなのか。どちらも何も生まないのかも知れない。

ただ俺が引き摺っているある想いが、俺にこんなにも侘びしい夜を迎えさせたのだ。

しっかりと掴んで置き去りにしなかったものが、俺の中に確かにある。


@ちぇっそ@
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2010/11/02 19:41 | ハードボイルド日記COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

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