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ハロルド・ピンター連続上演NO.9

今日は友達でもある役者の河野匡人さんが舞台に出演すると言うので下北沢へ赴きました。ハーフムーン・シアター・カンパニー主催。

朝起きて洗濯した後、昼ご飯を兼ねたちょっと遅い朝食をとりに、近所のモスバーガーへ行きました。

連休中くらいまで限定のびっくりメニュー「復刻版ダブルバーガー」に挑戦。

無駄に肉が2枚重ねで食べ辛い。でもモスのハンバーガーは美味しいから良いですけどね。

「バカなメニューだなぁ」と思いながら、メガ盛りを食べる楽しみ。

昼の公演を観覧するため、12時過ぎの地下鉄で下北へ向かいます。

1時過ぎに到着し、地図を片手にぐるっと散策し劇場のある場所を確認。まだ開演まで時間があったので、軽く食べられるものがないか物色。

すると一応ちゃんとした店舗ですが、露店風の店構えで「肉巻きおにぎり」なるものを売っているお店を発見しました。

チーズが乗ったやつを注文し、そこら辺の道端で立ち食い。

おにぎりを肉で包んであるのですが、コンビニで焼肉おにぎりとかってよく売ってますけど、要するに具とご飯の立場を逆にしたような、ジャパニーズ・ファーストフードと言うか、ジャンク・フード(果たしておにぎりがジャンクなのかと言う問題は置いておいて

うん。肉の香ばしさが確かに旨い!お手軽でちゃんとお腹に溜まる。気に入りました。

さて会場入り。

この度はシアター711と言う小劇場でした。いかにも小劇場然とした佇まい。トイレの方へ行くとまるで地下牢のような狭い通路になり、ちょっとした秘密基地じみた雰囲気に。

内装は昭和な臭いを漂わせていて、帝国軍の参謀本部に迷い込んだかのような味のある景色を湛えていました。

閉所恐怖症でない男の子なら、いかにも大好きと言った冒険魂をそそる空間です。

さて開演。

二部構成になっており、休憩を挟んで「恋人」と「コレクション」が上演されました。どちらの作品も、人間の発話行為について探るお話でした。

人のコミュニケーションには「言外」の意味を含むことも多く、意図的に嘘を付いたり、「裏の裏は表」と言った遠まわしな言い方をすることもある。我々が普段よく慣れ親しんでいるメディア/コンテンツの例で言えば「ツンデレ少女はいつも本心とは真逆のことを言う」設定なんかも、それに当たるでしょうか(笑)

そんなわけで会話は常に虚実ない交ぜ。「語り」が「騙り」を呼び、嘘に嘘を重ねて真実となる。しかし真実を話したところでそれが相手には嘘と解釈され、話はまた元の木阿弥に帰すこととなる。

会話はループしまくる。SFで言ったらP・K・ディックのようだし、幻想文学で例えるならG・マルケスやらH・L・ボルヘスと言ったラテン作家の作品を思わせる、奇想と不条理の物語でありました。

「恋人」では、河野さん扮するビジネスマンと、花木さん扮する妻が送るとても奇妙な二重生活が描かれていました。2人はお互いの愛を確かめ合うために「他人のふり」を装っていたのかも知れないし、ただ単にマンネリの結婚生活に新風を生み出すためのゲームだったのかも知れない。ネタバレしてしまうので、なんとなく内容を示唆するだけに留めておきますが(笑)

ある種のフェチシズムが感じられ、官能的でエロチックな雰囲気が濃厚。実際の舞台でもいわゆる「濡れ場」が展開し、かなりアダルトな内容となっていました。その場面では「ボンゴ」が使われていて、次第に盛り上がる2人だけの「ジャムセッション」がとてもエロかったです!

一見、順風そうに見える夫婦の会話。しかしそれはどことなく噛み合っておらず、すごく不穏な空気が漂っている。夫は妻の不貞を知っていながら容認している。妻もまた夫が情事を繰り返している事実をつかんでいると言う。

この嫌な嫌な雰囲気が伝わってきて、観ているこちらまで妙な緊張感を覚えてしまう。本当の修羅場に出くわしたようで、思わず見入ってしまうと言うか目を逸らしたくなるというか(笑)こんな気分にさせてしまうお二方の演技に脱帽です。

河野さんはよく存じているので、まあなんですけど(笑)ご自身をよくコントロールされている方なのですが、そんな中でも今回は特にのびのびと演じてらしたように感じられました。意外とあんなジゴロ的な面が素に近かったりして(爆w

お相手の花木さんはシャンソンなども歌ってらっしゃるようで、気品溢れる透き通った声がとっても魅力的でした。肉感的で大変にセクシー。ステキなお姉さまですねぇ!

そして第二部の「コレクション」には有名劇団に所属する実力派が揃い。迫真の演技に魅了されました。

「お前はリースで俺の女房を寝取っただろう!?」と言っておしかけてきた男。それを否定したり肯定したりしてのらりくらりと交わす青年がいる。彼の同居人で彼を弁護することになる初老の紳士がいて、その紳士はおしかけ男の妻に直接話しを聞きに行くのだが、彼の報告は実際に彼女から伝え聞いたものとは食い違っている。

事実はリースのホテルに泊まった男女2人だけと言うことになるのですが、誰もなかなか本当のことは言わず。一人の嘘がまた誰かの嘘を呼び、巡りめぐって虚言の積み重ねがやがて真実へと導く。もっともそれさえ本当か嘘かの真意は分からないのですけど。

嘘を付く人間の心理をとことんまでデフォルメした、いびつなサスペンスと言った感じだったでしょうか。

テレビでも見たことのある大御所、川口氏の貫禄には圧倒されました!独特の「間」があって、今回演じた役がもう既にひとつの「キャラ」として確立していた感があります。この域まで来るともはや批評を許さない感じですね(笑)本当に感動しました!観に来て良かったなぁ。

「寝取られた男」を演じた山中氏から漂う狂気。「ヤバイの来たよー」と思わず感じてしまう迫力がありました(笑)

「寝取った男」を演じた高橋氏はかっこ可愛いイケメンですよね(笑)比較的ナチュラルな演技をされる印象があって、とても好感の持てる役者さんでした。

そして浮気の張本人とされる妻を演じたのは古坂さん。正に優雅なマダムと言った風で誠に美しかったです。グレーのドレスが本当によくお似合いで!(笑)

そんなわけで舞台を大変楽しませて頂きましたが、同時にハロルド・ピンターって作家にも大いに興味を持ちました。時代が違うのでアレですが、ビートニクと言うかポストモダン的と言いますか。現代に通じる批評眼を持った作家であると感じました。

原作となる戯曲とか脚本とか、目にした折には手にとってじっくり熟読してみたいなあと思います。

それでは皆さん、お疲れさまでした!


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2010/03/20 23:44 | 観劇記録COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

ケッケコーポレーション朗読劇~声~


日曜日のお話です。私は演劇を見に荻窪のOMEGA TOKYOまで行って来ました!
ケッケコーポレーション主催、『「声」その一 宮部みゆき篇~江戸人間暦~』と題された公演。人気作家、宮部みゆき作品を朗読劇に仕立て上げた舞台であります。

何ゆえ私が演劇!?とお思いの向きもあるでしょうが、実は友人である河野匡泰(こうのまさひろ)さんが出演すると言うので、こうしてお誘い頂いた次第。

実は河野さんはご自身のHPでも「VOISE BLOG」として、コナン・ドイルやG・K・チェスタートン、芥川や小栗虫太郎から、なんとロシア作家アンドレーエフの作品までを取り上げ、中~低音の渋い声で朗読されているのです。
ラジオドラマのような趣きがあり、夜の夜中に聞いていると思わずその小説世界に引き込まれて行く感覚を覚えます。興味のある方は一度拝聴されてみては如何でしょうか。

HP<河野清人の思いつきボイス!>
http://www.voiceblog.jp/kiyo22/
↑ちなみにこちらは本名です(笑)

演目は「謀りごと」、「神無月」、「かどわかし」の3篇。河野さんは最初の2篇に出演されました。演劇について私は多くをあずかり知らぬところなので、トウシロの目から見たまんまの感想を一席!

「謀りごと」
長屋の大屋さんが、ある浪人宅で死んでいるところを発見されたのを期に、長屋に住む住人と、とりわけ大屋の生前の人物像が浮き彫りにされて行く物語でした。
今回の出演者の中には、声優の仕事をされている方も少なくなく、皆さんさすが「語り」が上手い!(笑)声のトーンやら、江戸弁の使い方なんて、実に味わい深かったです。
河野さんは最後の最後、家に帰ってきた浪人役で出演。実は浪人には秘密があって、この物語を本来の意味でミステリにしている部分でした。

「神無月」
毎年、神無月の頃に起こる押し込み強盗について、居酒屋の主人と、事件を追う岡っ引きが語り合っていると言う設定になっています。
岡っ引きに河野さん。今作の主演ってことですね。徳利を傾けてお猪口に注ぐ仕草や、納豆汁をすする音とかが凄く上手でした。真打の落語家のよう(笑)。
居酒屋主人役の宮澤正さんも抜群でしたね。生活感出てますね。「この店のオヤジは分かってる!」と思わず唸ってしまいそうな見事な手際。もちろん実際に料理はしてませんが、思わず納豆汁食いてぇ!と言ってしまいそうでした(笑)。これが演技っすよねぇ~。
そしてハードボイルドなエンディング。かっこよかったすね。個人的には一番「グッ!」と来ました!

「かどわかし」
畳み職人の家に、「おいらを、かどわかしてくれよ!」と駆け込んできた良家のお坊っちゃんが起こす騒動を描く。
3つ目の演目は、始め笑えてほろりとさせて、最後に苦い想いを引きずって終わる叙事詩と言った感じでした。お坊っちゃん役の杉崎綾子さん、目がクリックリしてとっても萌え~な女性でした(笑)。可愛らしかったし、役もはまってましたねぇ。ってか凄い、「ネウロ」に出演されてたんすか!?
一話目「謀りごと」で語り部を演じてらっしゃった石原凡さんが、岡っ引き役で再び登場。なんだか「してやったり」の風情で、オイシイ笑いをかっさらって行かれました(笑)。あれって、ミリオネアのみのもんたより“長い”ですって!
そんな石原さんへ、観客の気持ちを代弁するようにチャチャを入れていたのが、今回全編に出演なさっている宮澤正さん。タケちゃんマンも真っ青な極太まゆ毛を付けて、絶妙な突っ込みで場内を沸かせてくれました。「長ぇなぁ~」とか、「またかよ!」とかね(笑)。今夜のMVPかもしれないっすね!

今夜は朗読劇と言うことで、普段演劇に縁のない私でも大変親しみ易い舞台でした。特に私は本好きですし。
いつもと畑の違うところへ来ると、妙な緊張を強いられるものですが(俺が意識し過ぎか:笑)、今夜はそんなこともなく、とにかく無心で楽しむことが出来ました。

また、日ごろ足を運ぶデスメタルのライヴとまた一味違い、大変勉強になった部分も。
いつもと刺激される脳の部分が別だからでしょう。「そうか。こう言う風にやると、こう言う風に見えるのか」など、今後に思うところがあり参考にさせて頂きたいと思いました。

こう言うことを書くと、「また、ちぇっそもっさは妙な考え起こしてんだろ!」と勘ぐる方が居るかも知れませんが(笑)、いやご心配なく。より良く、より見苦しくなく、よりくどくない方向で今後の展開を考えて行きたいと思っております(じゃあ、やっぱり良からぬことを考えているんじゃねぇか!って?そうですか、分かりました。それでは、そう言うことにしておきます!)


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テーマ : 演劇 - ジャンル : 学問・文化・芸術

タグ : ケッケコーポレーション河野清人河野匡泰

2008/05/19 23:13 | 観劇記録COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

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